お問い合わせ

Top Message

株主の皆様には、平素より格別のご支援を賜り厚く御礼申しあげます。

さて、当社グループ第78期(2022年4月1日から2023年3月31日まで)の事業の概況をとりまとめましたので、ご報告申しあげます。

代表取締役社長 青木 邦博

事業の概況を教えてください
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症における行動制限の緩和などにより社会経済活動に回復の動きが見受けられるものの、新型コロナウイルス感染症の再拡大、ウクライナ情勢による資源価格の高騰や供給面での変動に加え、急激な円安などの為替変動の懸念により、依然として景気の先行きは不透明な状況で推移いたしました。
 当社グループに関連する事業環境におきましては、設備投資においては持ち直しの動きがみられ、公共投資は底堅い動きとなりましたが、電線事業の業界およびポリマテック事業の業界におきましては材料価格の高騰や銅価格の変動の影響を受け厳しい状況が続いております。一方で、電熱線事業は引き続き産業用ロボット向け抵抗器など抵抗器向け需要を中心に好調に推移しておりましたが、その後、世界経済の失速や在庫調整の動きが出始めたことで需要が落ち込みました。
 このような状況の中、当社グループにおきましては、ESG(環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance))を経営方針の中核に据え、4S(新)運動(新分野開拓・新製品創出・新顧客増強・新グローバル戦略推進)を推進し、中長期的、持続的な成長を目指しております。環境面では、風水害や地震の防災・災害復旧工事、海洋汚染問題対策などを、社会面では少子高齢化問題解決に資する自動化・ロボット化や老朽化した設備のメンテナンス対応などを、ガバナンス面では経営の透明性やリスク管理の徹底などを重視した経営を行い、今後成長が見込まれる新たな分野開拓を行ってまいりました。
 利益面におきましては、材料価格の高騰や銅価格の変動により、前年同期比で売上高は増加したものの、営業利益と経常利益に影響が出ております。また、株主提案対応費用や訴訟関連損失として特別損失が発生したため親会社株主に帰属する当期純損失となりました。
 その結果、当連結会計年度における売上高は9,946百万円(前年同期比8.3%増)、営業利益は155百万円(前年同期比34.5%減)、経常利益は204百万円(前年同期比32.3%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は68百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益281百万円)となりました。
対処すべき課題を教えてください
今後の見通しにおきましては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待されますが、世界的な金融引締めによる海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスク、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動などにより、先行き不透明な状況で推移するものと思われます。
 こうした中、当社グループでは、2026年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定し、持続可能な成長トレンドを目指してまいります。
 電線事業におきましては、ロシアのウクライナ問題の長期化や欧米を中心とした海外景気の減速への懸念、資源価格の高騰による企業業績の下押し、部品不足による生産制約の問題などはありますが、新型コロナウイルス感染症の状況に左右されないアフターコロナ期に移行し、設備投資の再開など前向きな投資が穏やかに増加すると予測されますので、対面での営業活動を一層活発化することで顧客情報を収集し、案件獲得の取り組みの行動を強化してまいります。
 また、当事業に関連の深い公共事業においては前年とほぼ同水準が見込まれており、当社の強みである海洋、河川土木などで使用できる水回り製品(フロートケーブル、ED-CVなど)を中心に継続した販路開拓に行動力強化を図ってまいります。そして、工場においては仕入材料のコストダウンおよび生産性向上により製造原価の低減を図り、製販一体となって利益額の確保を目指します。今後も営業・工場・技術の各部門連携を強化し製品開発・新分野開拓を行い、社会に貢献できる物作りに取り組んでまいります。
 ポリマテック事業におきましては、業績に影響する新設住宅着工戸数は2022年度と同程度と見込まれます。
 また、新築住宅は価格高騰を背景に低水準で推移すると見られますが、低金利が続く環境を背景に消費者の購買意欲が底堅く、合わせて中古戸建への住み替えによるリフォームおよびエクステリア部材の増加が見込まれます。
 高機能チューブにおきましては、2023年度の上期は海外メーカーの在庫調整の影響による受注減が見込まれますが、下期は前年並みの売上増加を見込んでおり、同時に材料供給不安を解消するための新製品開発を進めてまいります。
 原材料の値上げ、副資材、運送費の更なる値上げが予測される環境の中、値上げ活動による適正価格での販売と顧客への安定供給を進めてまいります。
 このような市場環境の中、営業では住宅建材業界に限らず積極的に新規開拓活動を行い、情報収集と案件獲得に努めてまいります。製造では効率生産、ロス材料の再利用など、ムリ・ムダ・ムラの排除を徹底し原価低減に努め、物流拠点の見直しを行い物流費の低減にも努めてまいります。製品開発では環境配慮型の材料を使用し、環境にこだわった製品開発を進めてまいります。
 電熱線事業におきましては、主要な市場である白物家電分野は、コロナ禍での「巣篭り需要」一巡に加え、インフレによる買控えが見込まれる中、市場成長が鈍化する恐れがあります。抵抗器など電子部品分野は、短期的には景気後退によるPCやスマートフォンの需要縮小から、市場成長の停滞が継続する懸念があります。このように足元におきましては予断を許さない厳しい状況が続くと予想されますが、長期的には、カーボンニュートラルの進展を背景に、自動車のEV化および電装化に伴う電子部品などの搭載点数の増加が期待される車載向けや工場自動化を背景とした産業機器向けにおける一段の需要拡大によって、市場規模は拡大傾向で推移すると予想されます。電気制御に必要な抵抗器や電熱機器の需要も同様に今後も拡大が続くものと思われます。拡大が見込めるマーケットでの新規開拓を進めるとともに、そのための取扱鋼種および関連部材の取扱拡大に引き続き注力するとともに、品質および信頼性の向上や生産性向上と原価低減を図り、業績の向上に努めてまいります。
 株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご指導とご支援を賜りますようお願い申しあげます。

2023年6月

Contact us