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株主の皆様には、平素より格別のご支援を賜り厚く御礼申しあげます。

さて、当社グループ第80期(2024年4月1日から2025年3月31日まで)の事業の概況をとりまとめましたので、ご報告申しあげます。

代表取締役社長 青木 邦博
事業の概況を教えてください
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する中で、各種政策の効果もあり穏やかな回復が続くことが期待されました。一方で欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や中国における不動産の停滞継続などで景気の不透明感が一層増した状況で推移いたしました。
 当社グループに関連する事業環境におきましては、設備投資においては持ち直しの動きがみられ、公共投資は底堅く推移し、電線事業は好調に推移しております。しかし、ポリマテック事業と電熱線事業におきましては、依然として厳しい状況が続いております。
 このような状況の中、当社グループにおきましては、ESG(環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance))を経営方針の中核に据え、4S(新)運動(新分野開拓・新製品創出・新顧客増強・新グローバル戦略推進)を推進し中長期的、持続的な成長を目指しております。環境面では、脱炭素社会実現のための再生可能エネルギー活用、風水害や地震の防災・災害復旧工事などを、社会面では少子高齢化問題解決に資する自動化・ロボット化や老朽化した設備のメンテナンス対応などを、ガバナンス面では経営の透明性やリスク管理の徹底などを重視した経営を行い、今後成長が見込まれる新たな分野開拓を行ってきました。また、原材料・サプライチェーンの見直しによるコストダウン、工場の生産性向上、品質の維持による生産力強化にも取り組んでおります。
 利益面におきましては、電線事業が好調に推移したもののポリマテック事業、電熱線事業の利益減少の影響が大きく、予算比で営業利益と経常利益は減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益に関しては投資有価証券の売却益により増益となりました。
 その結果、当連結会計年度における売上高は10,876百万円(前年同期比5.3%増)、営業利益は118百万円(前年同期比96.1%増)、経常利益は106百万円(前年同期比3.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は168百万円(前年同期比36.1%増)となりました。
対処すべき課題を教えてください
今後の見通しにおきましては、雇用・所得環境の改善など、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。しかし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念による海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなります。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、米国大統領の関税政策による貿易摩擦や金融資本市場の変動の影響など先行き不透明な状況で推移するものと思われます。
 こうした中、当社グループでは、2026年3月期を最終年度とする中期経営計画遂行に向けて、持続可能な成長トレンドを目指してまいります。
 電線事業におきましては、2025年度はコロナ収束後の国内民間設備投資回復は、より鮮明になってきております。当事業が関連する業界団体の受注額・需要量の見通しが前年より増加する予測となっており、環境は改善傾向と思われます。一方、人手不足による工期遅れ、昨年に続き賃金、物価、配送費の上昇などの課題があること、さらに米国大統領の関税政策を受け世界経済の動揺もあり、不透明感が拭えない状況であります。
 このように足元におきましては予断を許さない状況が続くと予想されますが、基盤固めと新たな取り組みにより販路・販売品種拡大を図ることで売上高を伸ばす活動を行ってまいります。銅価はもちろん原材料価格などや物流コストの高騰をはじめとする物価上昇に対応した価格転嫁を行ってまいります。工場におきましては仕入材料のコストダウンおよび生産性向上により製造原価の低減を図り、製販一体となって利益額の確保を目指してまいります。
 今後も営業・工場・技術の各部門連携を強化し製品開発・新分野開拓を行い、社会に貢献できる物作りに取り組んでまいります。
 ポリマテック事業におきましては、資材高騰の影響や米国大統領の関税政策により購買マインドがさらに悪化する懸念があり、新設住宅着工の状況は低調に推移すると予測されますが、非住宅分野を中心に新規案件においては積極的なアプローチにより引き続き受注件数は増加しており、2025年度の販売開始に向け金型製作・試作・量産準備をしております。
 原材料などの価格改定に対しましては、適正価格での販売と安定供給に努めてまいります。また、高機能チューブに使用しておりますフッ素樹脂材料の2025年での生産打ち切りへの対応に関しましては、代替材料にて製品開発・安定供給体制を確立し、各ユーザー様での新規機種への採用評価も実施頂いております。
 LED関連商品におきましては、2030年度までに道路照明のLED化を100%という目標を国が掲げている中で、2024年末時点でも50%未満に留まっていることから道路のLED化が急務となっており、各国道や市道からのLED化案件が急速に増えております。これを少しでも取り込めるように引き続き拡販活動に努めてまいります。
 電熱線事業におきましては、米中貿易摩擦や中国国内の需要減少の影響で行き場を失った中国製品の動向次第では大きな影響を受ける可能性があります。
 主要な市場である抵抗器などの電子部品は、車載や産業機器向けでの在庫調整が続いており、加えてバッテリーEVが欧米を中心として利便性の観点などから需要が減少する傾向にあることで引き続き軟調に推移する可能性があります。
 ヒーター用途も産業機器向けでの在庫調整が続いており、引き続き軟調に推移する可能性があります。
 しかし、在庫調整収束後には電動化の進展や工場自動化投資の回復などを背景に、拡大に転じることが見込まれ、長期的な観点では総じて市場規模は拡大傾向で推移する見込みであります。
 株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご指導とご支援を賜りますようお願い申しあげます。

2025年6月

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